
この記事で分かること
- 初期費用・月額費用・更新時の費用の分け方
- 支援委託料の参考値と、初年度予算の計算方法
- 本人負担にできない費用と、見積り比較の確認事項
結論:初期費用だけでなく、受入れ後の支出まで比べます
外国人介護士の採用費用は、採用経路、在留資格、支援の委託範囲、住居の準備によって変わります。紹介料だけで判断せず、採用時の支払、毎月の支払、更新などで発生する支払に分け、同じ期間で比較しましょう。給与・手当・社会保険等の事業主負担と、職員が教育や調整に使う時間も別途見込みます。特定技能では支援費用を本人へ負担させることはできません。見積りの対象、追加料金、返金条件、税の扱いまで確認すると、自施設に必要な予算を整理できます。[1]
最新情報:在留手続の手数料は申請日を確認
出入国在留管理庁は、2026年10月1日付けの在留許可手数料改定を案内しています。見積りに在留資格変更・在留期間更新の費用を入れる場合は、申請日、手続の種類、在留期間、窓口・オンラインの別を確認してください。オンライン申請では、国の手数料と決済に伴う費用も区別します。[6][7]
申請を専門家へ依頼する場合の報酬と、国へ納める手数料は別項目です。「申請費用一式」なら、どちらが含まれるか確認しましょう。金額は申請時点の公式案内と個別見積りで確定します。
採用費用は「初期・月額・その都度」に分ける
本記事は特定技能「介護」を中心に、施設が予算を作る際の項目を整理しています。すべての費用が必ず発生するわけではありません。自施設が支払う項目、本人が適切に負担する生活費、委託料に含まれる項目を分けて記入してください。
スマートフォンでは表を左右にスクロールできます。
| 区分 | 主な費用 | 見積りで確認すること |
|---|---|---|
| 採用時の初期費用 | 人材紹介、面接調整、翻訳、申請の依頼、渡航・移動、住居の初期準備、入職時研修 | 一人単位か、施設単位か。必要な項目だけを計上し、支援委託料との重複を確認 |
| 毎月の受入れ関連費 | 支援委託、日本語学習、住居費の施設負担分など | 開始月、請求人数、学習・通訳・訪問等の範囲、追加料金 |
| 雇用に伴う人件費 | 給与、各種手当、賞与、社会保険等の事業主負担 | 既存職員と同じ基準で積算し、採用・支援費とは別に把握 |
| その都度の費用 | 在留期間更新、追加研修、転居等の施設負担、契約終了時の精算 | 発生条件、時期、上限、誰が負担するか |
| 施設内の対応時間 | 教育担当の指導、面談、書類準備、関係者との調整 | 外部への支払額に含まれない職員の時間も確保 |
「相場」を見るときは、調査年と含まれる範囲を確認
外国人介護士の採用費用を、一律の総額で示すことはできません。採用経路、候補者の状況、住居の準備、委託範囲で変わります。紹介料だけの金額と、支援・渡航・住居まで含む金額は、そのまま比較できません。
公的資料にある支援委託費の参考値
2026年4月15日の衆議院法務委員会では、出入国在留管理庁が2022年の調査で、特定技能の支援委託費は一人当たり月平均2万8,000円だったと説明しています。これは過去の調査値であり、介護分野だけの2026年の相場でも、採用費用の総額でもありません。消費税の扱いなども個別見積りと照合する必要があります。[5]
この参考値だけで高い・安いを決めず、同じ支援内容・同じ期間・同じ人数の条件で比較しましょう。本ページに掲載する試算は、くまもと人づくり協同組合の料金表ではありません。
初期費用:紹介・申請・渡航・住居を分けて確認
紹介と申請は、依頼内容を明確にする
候補者紹介、面接通訳、書類翻訳、在留手続の依頼が一式になっている場合は、内訳を求めます。紹介料の発生時点が内定・許可・入職のどの時点か、不許可や入職辞退の際の扱いも確認しましょう。
渡航と住居は、実費と準備業務を分ける
航空券や国内移動、敷金・礼金、保証料、家具・家電などは、必要性と負担者を確認して積算します。住居の初期支払には返還される可能性のある敷金もあるため、資金繰り上の支出と最終的な費用を区別します。
海外採用なら渡航日変更、国内採用でも転居が発生することがあります。「国内だから住居費や移動費は不要」とは決めつけず、本人の居住地と勤務地から確認します。
月額費用:支援委託料と人件費は別に積算
特定技能1号には支援計画に基づく支援が必要です。登録支援機関へ委託する場合は、生活相談、行政手続の同行、日本語学習の機会提供など、必要な支援をどのように実施するか確認します。日本語の機会提供と、有料の日本語授業そのものは分けて確認すると見積りを比較しやすくなります。[3]
スマートフォンでは表を左右にスクロールできます。
| 項目 | 確認するポイント |
|---|---|
| 支援委託料 | 一人当たりか。請求開始・終了、休職・一時帰国時の扱い、対応言語と時間帯 |
| 通訳・同行 | 委託料に含む範囲、交通実費、追加依頼の単価 |
| 日本語・介護学習 | 教材、授業、試験対策の有無。受講料と勤務時間の扱い |
| 住居・通勤 | 施設が補助する金額、本人負担額、更新料等の臨時支出 |
| 給与・社会保険等 | 基本給だけでなく手当・賞与・事業主負担まで含める |
特定技能の報酬は、日本人が同等の業務に従事する場合と同等以上であることが求められます。「外国人なら給与を低くできる」という前提で予算を作らないようにしましょう。[2]
初年度予算の計算例:対象範囲を明示する
以下は計算方法を示すための仮定の金額です。実際の相場・料金・見積りを示すものではありません。各金額は、課税される項目の消費税も含めた施設支払額として置いています。
スマートフォンでは表を左右にスクロールできます。
| 仮定する項目 | 計算 | 対象項目の支払額 |
|---|---|---|
| 採用準備等の初期費用 | 40万円 × 1人 | 40万円 |
| 支援委託料 | 2万5,000円 × 12か月 × 1人 | 30万円 |
| 学習費 | 5,000円 × 12か月 × 1人 | 6万円 |
| 上記3項目の小計 | 40万円 + 30万円 + 6万円 | 76万円 |
76万円は、雇用全体の初年度総額ではありません。給与・手当・賞与・社会保険等の事業主負担、月々の住居費の施設負担、更新費用、職員の指導時間などは含めていません。実際には、初期費用の40万円に何が含まれるかも確認が必要です。
施設全体の予算は、初期支出+毎月の支出×対象月数+期間中に発生する臨時支出で整理します。年途中の入職なら対象月数を調整し、給与等の人件費も加えます。複数人では、一人ごとの費用と施設で共通の費用を分けて計算してください。
国内・海外、受入れ制度で費用の範囲は変わる
スマートフォンでは表を左右にスクロールできます。
| 採用経路・制度 | 見積りを比べる前に確認 |
|---|---|
| 国内在住者の採用 | 現在の在留資格、転職・変更手続、転居、入職可能時期 |
| 海外からの採用 | 国別の手続、渡航、入国前準備、住居・生活立上げ |
| 特定技能1号 | 必要な支援の実施体制と委託範囲。紹介と支援を分けて確認 |
| 在留資格「介護」・EPA・技能実習等 | それぞれの制度・募集案内・契約に沿って費用を確認。特定技能の支援委託料をそのまま当てはめない |
受入れ経路には異なる条件があります。費用の比較は、採用したい人と施設に適した制度を確認してから行いましょう。制度全体は外国人介護人材の制度比較で整理しています。[8]
本人へ負担させられない支援費用に注意
特定技能の支援に要する費用は受入れ機関等が負担し、支援対象の外国人に負担させてはいけません。施設の支援委託料を、給与控除や別名目の請求によって本人へ転嫁する予算は組めません。[1]
家賃・食費などの本人の生活費と、支援を実施するための費用は区別してください。本人負担や控除の可否・条件は、制度のルールと雇用契約等を確認し、金額と理由を本人が理解できるよう説明します。迷う費目は契約前に確認しましょう。
特定技能協議会の会費と、代行の料金を区別
厚生労働省は、介護分野の特定技能協議会への入会にあたり、入会費・年会費等を徴収しないと案内しています。見積書に「協議会費」等がある場合は、公的な会費か、別の団体の会費か、手続を依頼するための料金かを確認してください。[4]
見積り比較に使える10項目のチェックリスト
- □ 同じ人数・入職予定月・在留資格・採用経路で見積りを依頼した
- □ 紹介・支援・申請・渡航・住居の内訳を確認した
- □ 税込・税別、実費、為替の扱い、見積りの有効期限を確認した
- □ 一人単位と施設単位の費用を分けた
- □ 支援委託料の開始・終了時点と追加料金を確認した
- □ 紹介料の支払時期、辞退・不許可・早期退職時の返金条件を確認した
- □ 住居等の負担者と、本人への説明内容を確認した
- □ 更新・転居・契約終了時に発生する費用を確認した
- □ 給与・社会保険等と、教育担当の時間を予算に入れた
- □ 委託先の役割、対応範囲、相談・緊急時の連絡体制を確認した
返金や再紹介は、すべての契約で同じ条件とは限りません。対象期間、計算方法、除外条件、申出期限を書面で確認してください。
費用を見直すときは、重複と準備不足を減らす
まず、紹介・支援・申請の契約で同じ業務に重複して支払っていないか確認します。次に、住居や家具の準備を早め、手続のやり直しや直前の変更を減らします。現場の教育担当と相談先を明確にし、継続して働ける環境を整えることも採用計画の一部です。
自施設で支援する場合も、必要な体制や実施要件を満たす必要があります。委託料がなくなっても、担当者の時間や通訳等の費用は残るため、内製化の費用も積算しましょう。[2]
補助制度を検討する場合は、所在地の自治体の当年度の募集要領で、対象経費、申請時期、交付前の着手可否などを確認します。採択が決まる前から、補助金を確定収入として差し引かないようにします。
よくある質問
外国人介護士一人の採用に、結局いくら必要ですか?
一律には決まりません。採用時の支払、月額の支払、更新等の支払を分け、給与等を含む同じ期間で積算してください。本記事の76万円は、仮定した3項目だけの小計です。
月額支援料に紹介料や更新手続も含まれますか?
契約によります。支援委託料に含まれる業務と、別途料金が必要な業務を見積書・契約書で確認してください。
国内採用の方が必ず安いですか?
必ずとはいえません。渡航が不要でも紹介料、転居、在留手続などが必要になる場合があります。候補者と勤務地の条件をそろえて比べましょう。
支援委託料を本人の給与から引けますか?
支援に要する費用を本人に負担させることはできません。生活費の本人負担と支援費用を分けて扱ってください。[1]
初期費用が安い見積りを選べばよいですか?
月額料金、追加料金、更新費用、返金条件まで含めて比較してください。必要な支援や現場教育の範囲も確認し、採用後の運用まで判断します。
関連ページ
- 外国人介護士の採用方法:募集から勤務開始までの手順
- 外国人介護人材 完全ガイド:採用から定着までの全体像
- 外国人介護人材の制度比較:受入れ制度を選ぶ
- 特定技能「介護」とは:本人・施設の要件と支援
出典・確認資料
制度の説明と公的な参考値は以下の資料に基づきます。予算例、見積り比較、チェックリストは施設が検討するための実務例です。
- 出入国在留管理庁|雇用における注意点
- 出入国在留管理庁|特定技能制度に関するQ&A
- 出入国在留管理庁|1号特定技能外国人に対する支援について
- 厚生労働省|介護分野における特定技能外国人の受入れについて
- 衆議院|第221回国会 法務委員会 第4号(2026年4月15日)
- 出入国在留管理庁|令和8年10月1日付け在留許可手数料の額の改定等について
- 出入国在留管理庁|オンライン申請の手数料額・納付方法(2026年10月1日以降の申請分)
- 厚生労働省|外国人介護人材の受入れについて
最終確認日:2026年9月27日
更新履歴:2026年9月27日:初版作成。費用内訳、支援委託費の過去の参考値、初年度の仮定計算、見積り比較を整理。
更新方針:制度・公的手数料の変更時に確認し、費用情報は3か月ごとを目安に見直します。
採用予算や見積りの確認からご相談ください
施設の種類、採用したい人数、勤務開始の希望月、現在の見積りで分からない項目をお聞かせください。くまもと人づくり協同組合への無料相談は、この下の電話・フォームからご利用いただけます。
くまもと人づくり協同組合|無料相談
初めての採用も、
今の支援体制の見直しも。
制度や費用、受入れ準備、採用後のお困りごとまで。
まずは、施設の状況をお聞かせください。
採用や契約変更を決める前のご相談も受け付けています。
フォームでのお問い合わせ
下のフォームに必要事項とご相談内容をご入力ください。