特定技能「介護」とは?採用要件・人数上限・支援義務を解説

介護施設で、二人の介護職員が利用者と一緒に日常の活動に取り組む場面

介護事業者向け制度解説 / 最終確認日:2026年9月26日

特定技能で外国人介護職員を採用したいときは、候補者の試験合格だけでなく、受入れ施設の条件と採用後の支援体制も確認する必要があります。自施設で受け入れられるかを判断できるよう、制度の基本と準備する順番をまとめました。

この記事で分かること

  • 特定技能「介護」でできる仕事と働ける期間
  • 候補者に必要な試験・日本語と、免除の考え方
  • 施設側の受入れ条件・人数上限・支援義務
  • 採用手順、費用の確認方法、入職後の育成で気を付けたいこと

結論:技能・日本語の要件を満たす人を、支援体制を整えて直接雇用する制度

特定技能「介護」は、一定の介護技能と日本語能力を備えた外国人が、対象となる介護事業所で働くための在留資格です。採用には、本人の試験合格または免除要件に加え、施設側の直接雇用、適切な待遇、人数上限、協議会加入、支援計画などの条件があります。在留は原則通算5年で、介護分野に特定技能2号はありません。長期就労を見据えるなら、入職時から介護福祉士資格の取得と在留資格「介護」への変更を支える計画を立てましょう。[1][2][3][17]

2026年9月現在:現行制度と今後の変更を分けて確認

  • 訪問系サービス:特定技能外国人は2025年4月21日から、研修・経験・受入れ体制などの条件を満たす場合に従事できるようになりました。[13]
  • 通算在留期間:2026年の第38回介護福祉士国家試験から、パート合格等の要件を満たす人には最長1年の延長措置があります。一律の延長ではありません。[11][12]
  • 今後の支援体制:2027年4月1日施行の改正では、支援責任者の養成講習などが位置付けられています。経過措置もあるため、現在の義務と混同せず、施行に向けた案内を確認してください。[15][16]

制度改正があったときは、在留資格の申請日、勤務開始日、個々の経歴によって適用される取扱いを確認します。

特定技能「介護」とは?制度と業務の基本

特定技能は、人手不足に対応するため、一定の専門性・技能を持つ人を受け入れる制度です。「介護福祉士」という国家資格そのものではありません。介護分野では特定技能1号として受け入れます。[1][17]

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項目基本的な取扱い
雇用受入れ事業者による直接雇用。フルタイム勤務が前提です。[5][17]
主な仕事利用者の状態に応じた入浴・食事・排せつの介助等。これに付随するレクリエーションや機能訓練の補助等も含まれます。[2]
在留期間原則、通算5年。要件を満たす人への延長措置等は別途確認します。[3][11]
家族の帯同特定技能1号に基づく家族帯同は、原則として認められません。[3]
長期就労の道筋介護分野は特定技能2号の対象外。介護福祉士資格を取得し、在留資格「介護」への変更を目指す道筋があります。[2][7][17]

清掃や洗濯などの関連業務だけを専ら担当させる採用計画は適切ではありません。求人票と実際の業務の両方で、介護業務を担うことを明確にします。[2]

訪問介護に配置する場合は追加の確認が必要

訪問系サービスでは、介護職員初任者研修等の修了、原則1年以上の実務経験、本人の意向の確認とキャリアアップ計画、利用者・家族への説明、同行訪問等の研修、ハラスメント対策、緊急時の連絡体制などを確認します。受入れ機関は事前に必要書類を提出し、対象者の適合確認書の発行を受ける必要があります。「特定技能を持っている」という理由だけで、すぐに一人で訪問させることはできません。[1][13]

候補者に必要な要件と試験

本人は18歳以上などの基準を満たす必要があります。試験を受けられる年齢と、特定技能で就労するための年齢は区別してください。[4]

基本は「介護の技能」「介護の日本語」「生活に必要な日本語」

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確認する能力基本となる試験
介護技能介護特定技能評価試験(技能)。従来の名称は介護技能評価試験。
介護現場の日本語介護特定技能評価試験(日本語)。従来の名称は介護日本語評価試験。
生活に必要な日本語国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)、または日本語能力試験(JLPT)N4以上。

上表は厚生労働省の現行案内に基づく基本ルートです。免除に該当しない場合は、この組合せで要件を確認します。N4に合格しているだけでは、介護分野の試験要件を満たしません。[1]

採用面接では、合格証明書に加えて、声かけ、申し送り、記録の読み取りを具体的な場面で確かめましょう。これは施設での育成計画を作るための実務上の確認であり、新たな法定試験ではありません。

技能実習等から移る場合は免除の範囲が異なる

  • 介護職種・介護作業の技能実習2号を良好に修了:技能・日本語の試験免除の対象です。良好修了を示す証明書等を確認します。
  • 他職種の技能実習2号を良好に修了:一般の日本語試験は免除されても、介護の技能・日本語の試験は別途確認が必要です。
  • 介護福祉士養成施設を修了:試験免除の対象となるため、卒業証明書等を確認します。
  • EPA介護福祉士候補者:所定の就労・研修期間や、直近の国家試験での得点などの要件があります。「EPAで来日したことがある」だけで免除にはなりません。

免除の判定は、本人の在留履歴と証明書をもとに行います。EPAからの移行は、合格基準点の5割以上、すべての試験科目群で得点があること等も確認します。試験免除と在留許可は別の審査です。[2][7]

施設側の受入れ条件と人数上限

採用前に確認する5つの項目

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項目確認する内容
対象事業所事業所のサービス種別が、厚生労働省の受入れ対象施設一覧に該当するか。法人名だけで判断しません。[6]
雇用・待遇直接雇用、フルタイム、同等の業務を行う日本人と同等以上の報酬を確保できるか。役割・経験等に応じた比較を説明できるようにします。[5][17]
人数上限事業所ごとに、受入れ可能な人数と、すでに働いている特定技能1号の人数を確認します。[17]
協議会在留申請前に加入し、実際の受入れ事業所情報が登録された入会証明書を用意します。[1]
支援・法令遵守支援計画と実施体制に加え、雇用契約の履行、社会保険・税の納付等、受入れ機関としての基準を確認します。[2][8]

人数上限は法人全体ではなく、事業所単位

介護分野の1号特定技能外国人は、その事業所の「日本人等の常勤介護職員の総数」までという上限があります。「日本人等」は制度上の範囲を持つ言葉です。外国籍の職員を一律に除外したり、非常勤職員を独自の方法で足し合わせたりせず、運用要領に沿って数えます。[2][17]

例えば、基準に沿って算定した日本人等の常勤介護職員が10人で、すでに特定技能1号が6人いる事業所なら、人数上限だけを見た追加枠は4人です。これは算定方法の説明用の仮例です。実際には対象事業所の要件、勤務体制、教育に対応できる人数も合わせて判断します。

協議会加入と、自治体への協力確認書は別の手続き

介護分野の協議会は、在留申請より前に手続きします。登録のない別事業所へ配属する場合も、事前の事業所登録が必要です。[1]

また、受入れに当たっては、事業所所在地と本人の住居地の市区町村に対する協力確認書など、地域の共生施策との連携も確認します。提出済みの場合の扱いや住所変更時の手続きは、公的案内と自治体の受付方法を確認してください。[14]

特定技能1号には支援計画と10項目の支援が必要

受入れ機関は、本人が働き、生活するうえで必要な支援を計画し、実施します。主な支援は次の10項目です。具体的な実施条件は支援計画の基準に従います。[8][9]

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支援項目施設が準備すること
1. 事前ガイダンス申請前に雇用条件・活動内容・支援等を説明する。
2. 出入国時の送迎必要な送迎と、出国時の同行対応を手配する。
3. 住居・生活契約住まいの確保、銀行口座、携帯電話等の契約を支援する。
4. 生活オリエンテーション生活ルール、交通、医療、防災等を案内する。
5. 公的手続きの支援住民登録、社会保障、税等の手続きを案内し、必要に応じて同行する。
6. 日本語学習の機会日本語教室や学習教材等の情報・機会を提供する。
7. 相談・苦情への対応本人が十分に理解できる言語で相談できる体制を設ける。
8. 日本人との交流地域の行事や交流の機会を案内する。
9. 転職支援本人の責任によらず雇用契約を解除する場合等に、次の仕事探しを支援する。
10. 定期的な面談等本人や監督者と定期的に面談し、問題があれば必要な対応・通報を行う。

登録支援機関への委託と自社支援の違い

自社で基準を満たす支援体制を用意できる場合は、自社支援を検討できます。登録支援機関へ委託する方法もありますが、契約前に対応言語、相談受付、緊急時の連絡先、面談、記録の共有方法を確認してください。[8]

委託後も、給与の支払い、勤務管理、現場での業務指導など、雇用主が行う仕事は残ります。施設の担当者と支援機関の担当者を決め、「誰が、何を、いつまでに対応するか」を書面にしておくと、生活相談と職場の問題をつなげて解決しやすくなります。

義務的支援に要する費用を、直接・間接に本人へ負担させることはできません。給与から支援委託料を差し引く設計は避けてください。家賃等の本人負担を設定する場合も、支援費用と混同せず、根拠と金額を説明します。[10]

通算5年と、介護福祉士取得後の働き方

特定技能1号の在留は原則として通算5年です。一度の許可で5年間働けるという意味ではなく、個々の在留期限に応じた更新が必要です。中途採用では、以前の勤務先で特定技能として働いた期間も含め、残りの期間を確認しましょう。[3][4]

介護福祉士資格を取得し、必要な条件を満たせば、在留資格「介護」への変更を申請できます。この資格では更新回数の制限なく働けますが、資格取得だけで在留資格が自動的に変わるわけではありません。[2][7]

パート合格による最長1年の延長は、条件付き

通算5年に達する前の最終年度の介護福祉士国家試験について、全パートを受験し、1パート以上に合格、かつ総得点の合格基準点の8割以上を得点すること等が条件です。本人の翌年度受験の意思に加え、受入れ機関と本人が学習計画を作成し、所定の確認・在留手続きを行います。[11][12]

2026年第38回試験についての厚生労働省への確認申請期限は、2026年4月30日で終了しています。次回以降は対象年度の通知と期限を確認し、過去の締切を流用しないでください。延長を前提に採用計画を立てるのではなく、早期から受験準備を支えることが大切です。[12]

採用から勤務開始までの手順

次の流れを基本に、国内採用か海外採用か、候補者の在留資格、送出し国の手続きに合わせて調整します。

  1. 配属先と採用人数を決める:対象施設・人数上限・勤務内容を確認し、現場の教育担当者と相談します。
  2. 雇用条件と予算を整える:給与、手当、休日、住居費、支援費、教育に使う時間を具体化します。
  3. 候補者の要件を確認して面接する:試験合格・免除の証明、就労経験、在留履歴、希望する働き方を確認します。
  4. 契約・支援計画を整える:本人に分かる方法で条件を説明し、事前ガイダンスと支援の役割分担を行います。
  5. 協議会・自治体等の手続きを進める:配属事業所を含む協議会入会証明書、協力確認書、国別手続き等を確認します。
  6. 在留手続きを行う:海外からの受入れでは在留資格認定証明書・査証等、国内での変更では在留資格変更等、本人に合う申請を行います。
  7. 就労可能な状態を確認して勤務開始:在留カード等を確認し、生活オリエンテーションと現場教育を開始します。
  8. 開始後の登録・届出・支援を続ける:介護分野の協議会では、受入れ後4か月以内の外国人情報登録も必要です。期限の管理担当を決めます。

協議会・在留・支援・地域連携の根拠:[1][8][14][19] 試験合格や採用内定は、在留許可や査証発給を保証するものではありません。[1]

採用相談の前にそろえるチェックリスト

  • 事業所のサービス種別・所在地・指定内容
  • 常勤介護職員の内訳と、在籍する特定技能1号の人数
  • 採用したい人数、希望時期、予定業務
  • 給与・手当・休日・住居の条件
  • 日本語学習と業務教育の担当者・時間
  • 自社支援か委託かの希望と、対応できる言語
  • 候補者が決まっている場合は、試験・在留履歴・希望の確認状況

採用費用は「初期」「毎月」「育成」に分けて確認

採用費用には一律の公定価格がありません。候補者の所在、紹介や支援の契約内容、住居の準備方法によって変わるため、次の区分で見積書を比較すると、採用後の負担を把握しやすくなります。

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区分主な確認対象
採用時紹介手数料、申請支援、渡航、住居の初期費用。含まれる業務、支払時期、返金条件も確認。
毎月給与・手当・社会保険の事業主負担、支援委託料、住居関連費用。追加請求になる対応を確認。
育成・定着日本語学習、研修、資格取得支援、現場の教育担当者の時間。施設が負担する範囲を決める。

この表は見積りを整理するための実務例です。全項目が必ず発生するわけではなく、各費用の負担者は法令・国別のルール・契約に沿って確認します。給与を日本人より安く設定することや、義務的支援の費用を本人へ転嫁することを前提に、採算を計算しないでください。[5][10]

入職後は、生活支援と現場教育をつなげる

制度上の技能・日本語要件を満たしていても、施設ごとの介護記録、利用者の生活歴、申し送りの表現まで最初から分かるとは限りません。以下は、受入れ時に取り入れたい実務上の工夫です。

  • 初期:相談先、緊急連絡、感染対策、記録の方法を、実演と短い言葉で共有します。
  • 業務に慣れる時期:「分かりましたか」だけで終わらせず、本人の言葉や実演で確認し、任せられる業務を段階的に増やします。
  • 継続支援:面談で勤務・生活・学習の困りごとを確認し、現場と支援担当者が対応を共有します。
  • 資格取得:本人の希望を聞き、受験資格、研修、学習時間、在留期限を早めに整理します。

採用時に起こりやすい行き違いと防ぎ方

  • 「試験合格=業務を一人で任せられる」と考える:施設内で確認する技能を決め、評価してから担当を広げます。
  • 手取りや住居費の説明が曖昧:給与明細の例を使い、控除と本人負担を説明します。
  • 支援機関と施設の担当が不明:通常時・緊急時それぞれの窓口と報告方法を決めます。
  • 在留期限直前に資格取得を考える:入職時に残りの期間を確認し、本人の希望に沿って学習計画を立てます。

よくある質問

介護未経験者も採用できますか?

試験ルートでは、介護実務経験そのものが一律の必須条件になっているわけではありません。ただし、技能・日本語等の要件は必要で、訪問系サービスには別途経験等の条件があります。未経験者を採用する場合は、施設での教育時間を確保します。[1][2][13]

登録支援機関への委託は必須ですか?

一律に必須ではありません。自社支援の基準を満たせるかを確認し、難しい場合は登録支援機関への委託を検討します。費用だけでなく、相談対応や記録管理まで実行できる体制かを比べてください。[8]

特定技能2号に進めば、介護で長く働けますか?

介護は特定技能2号の対象分野ではありません。介護福祉士資格を取得し、在留資格「介護」への変更を目指す道筋を検討します。[2][17]

転職してきた人を採用すれば、新たに5年働けますか?

採用した施設が変わっても、特定技能1号の通算期間がゼロに戻るわけではありません。過去の在留期間を確認し、残りの期間を踏まえて採用・育成計画を立てます。[3][4]

特定技能の職員が転職を希望した場合は?

特定技能は転職が可能ですが、新たな受入れ先に応じた在留資格変更などの手続きが必要です。希望理由を聞き、契約・在留・支援に関する届出や手続きを整理してください。転職を止める前提で支援を考えず、本人の意思を尊重して対応します。[18][19]

出典・参考資料

制度の説明は以下の公的資料をもとに整理しています。現場での教育・見積り・役割分担に関する提案は、事業者向けの実務上の工夫です。個別の適用条件は、申請時点の案内と本人・事業所の状況を照合してください。

  1. 厚生労働省|介護分野における特定技能外国人の受入れについて
  2. 法務省・厚生労働省|特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領(介護分野)
  3. 出入国在留管理庁|在留資格「特定技能」とは
  4. 出入国在留管理庁|特定技能外国人に関する基準
  5. 出入国在留管理庁|特定技能雇用契約に関する基準(運用要領抜粋)
  6. 厚生労働省|介護分野の1号特定技能外国人を受け入れる対象施設について
  7. 厚生労働省|EPA介護福祉士候補者の特定技能1号への移行について
  8. 出入国在留管理庁|1号特定技能外国人支援・登録支援機関について
  9. 出入国在留管理庁|会社から受けられる支援
  10. 出入国在留管理庁|支援に要する費用の負担に関するもの(運用要領抜粋)
  11. 厚生労働省|パート合格による介護分野の特定技能外国人の在留期間延長について
  12. 厚生労働省|通算在留期間の延長に関する措置・手続き・Q&A
  13. 厚生労働省|外国人介護人材の訪問系サービスへの従事について
  14. 出入国在留管理庁|特定技能制度における地域の共生施策に関する連携
  15. 出入国在留管理庁|1号特定技能外国人への支援体制に係る要件の改正について
  16. 出入国在留管理庁|特定技能制度における養成講習について
  17. 出入国在留管理庁|介護分野
  18. 出入国在留管理庁|特定技能総合支援サイト・よくある質問
  19. 出入国在留管理庁|特定技能に関する二国間の協力覚書

最終確認日:2026年9月26日

更新区分:C:制度変更監視。公的機関の改正・通知を確認し、影響する本文を更新します。

更新履歴:2026年9月26日 初版作成。試験・受入れ条件、支援、通算在留期間、訪問系サービスの取扱いを確認しました。

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