
この記事で分かること
- 特定技能「介護」を受け入れる施設側の条件
- 人数上限の計算に含める職員・含めない職員
- 事業所別の計算例と、採用前のチェック項目
- 協議会・自治体・訪問系サービスの確認ポイント
結論:特定技能「介護」の人数枠は、事業所ごとに確認します
特定技能1号「介護」の受入れ人数は、事業所ごとに日本人等の常勤介護職員の総数が上限です。「等」には在留資格「介護」などの外国人職員も含まれるため、国籍だけで数えず、在留資格・業務・常勤性を確認します。すでに受け入れている特定技能職員を含めて計算し、法人全体の人数でまとめないことが大切です。さらに、対象施設、適切な雇用契約、支援体制、協議会等の手続も必要です。上限の確認と並行して、現場が教育・支援できる人数を検討し、採用計画を立てましょう。[3][5][6]
まず、採用する在留資格を決める
外国人介護士の受入れ条件は、特定技能、在留資格「介護」、EPA、技能実習などで異なります。本記事の人数上限と計算例は、特定技能1号「介護」のルールです。他の制度の人数枠へそのまま当てはめないでください。[11]
特定技能は人手不足への対応を目的とした制度ですが、本人の試験合格だけで施設が受け入れられるわけではありません。受入れ事業所、雇用契約、支援体制なども確認します。制度の選び方は外国人介護人材の制度比較をご覧ください。[6]
2026年9月現在:協議会・自治体・訪問系の条件を確認
- 協議会:厚生労働省の現在の案内は「介護分野における特定技能・育成就労協議会」です。特定技能の在留諸申請前に、受入事業所の情報が登録された入会証明書を準備します。[1]
- 自治体との連携:2025年4月からの仕組みとして、協力確認書の提出や、地域の共生施策を踏まえた支援計画が必要です。[8]
- 訪問系サービス:特定技能外国人も一定の条件の下で従事できます。「一律に不可」「採用すれば直ちに可能」のどちらでもありません。[9]
育成就労は2027年4月1日施行予定です。本記事の特定技能の人数計算を、今後の育成就労へ流用せず、施行時の基準を確認してください。[11]
施設側が確認する受入要件の全体像
スマートフォンでは表を左右にスクロールできます。
| 確認する項目 | 施設で準備・確認すること |
|---|---|
| 対象となる事業所・業務 | 施設・サービスの正式な種別と、実際に任せる介護業務 |
| 人数枠 | 事業所ごとの算定対象職員、現在の特定技能1号職員、採用予定者 |
| 雇用契約・法令遵守 | 直接雇用、フルタイム、報酬、労働・社会保険・税等の適正な対応 |
| 支援体制・支援計画 | 生活・相談・日本語学習等の支援担当と、委託する場合の役割分担 |
| 協議会・地域との連携 | 協議会の入会証明書、事業所情報、自治体への協力確認書 |
| 本人・在留手続 | 試験・免除要件、在留資格、勤務地・業務と許可内容の確認 |
この表は確認順序を整理したものです。申請基準をすべて列挙したものではありません。自施設の状況に応じた提出書類と、最新の運用要領を照合します。[1][6][10]
対象施設と、実際に任せる業務を照合する
特定技能「介護」を受け入れる事業所は、厚生労働省の対象施設一覧と照合します。例えば特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院、指定通所介護などが掲載されています。施設の通称ではなく、指定を受けたサービスの正式名称で確認しましょう。[4]
有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅等には条件・注記があります。名称だけで判断せず、指定の内容や実施サービスを確認します。訪問系サービスは、対象施設一覧に加え、現在の訪問系サービスの案内で追加条件を確認してください。[4][9]
仕事は身体介護等を中心とし、物品補充などの関連業務だけを専ら任せることはできません。「施設で働く」というだけでなく、予定する仕事内容を雇用条件と照合します。[2]
人数上限は、事業所ごとの日本人等の常勤介護職員数
特定技能1号「介護」の受入れ人数は、事業所単位で、日本人等の常勤介護職員の総数を超えないことが必要です。法人が運営する複数施設の職員を合計して、一つの事業所の枠にするルールではありません。[5]
例えば、算定対象となる常勤介護職員が10人の事業所なら、特定技能1号「介護」の人数枠は10人です。すでに4人受け入れていれば、人数枠だけでみた追加分は6人になります。これは他の条件が満たされ、職員数に変動がないと仮定した計算例です。
人数枠からみた追加可能数=算定対象の常勤介護職員数-現在受け入れている特定技能1号「介護」の人数
複数人を採用する場合は、すでに内定・申請している人も含め、受入れ後の総数で計画を確認します。上限を超える計画や職員数の減少がある場合は、勤務開始を決める前に相談してください。
人数計算に含める職員・含めない職員
基準になるのは、介護等を主な業務とする常勤職員です。「日本人等」には、一定の在留資格で働く外国人職員も含まれます。[2][3]
スマートフォンでは表を左右にスクロールできます。
| 職員区分 | 上限を計算する側に含めるか |
|---|---|
| 日本人の常勤介護職員 | 含める |
| 在留資格「介護」の常勤介護職員 | 含める |
| 介護福祉士国家試験に合格したEPA介護福祉士 | 常勤で介護等を主な業務としていれば含める |
| 永住者・日本人の配偶者等など身分・地位に基づく在留資格の職員、特別永住者 | 常勤で介護等を主な業務としていれば含める |
| 特定技能1号の介護職員 | 算定の基礎となる側に加えず、受入れ人数として数える |
| 技能実習生・EPA介護福祉士候補者・留学生 | 算定の基礎となる側には含めない |
| 事務職員・就労支援を行う職員 | 介護の常勤職員としては含めない |
| 介護施設で看護業務を行う看護師・准看護師 | 原則として含めない。下記の医療機関の取扱いと区別 |
上表の根拠は、介護分野の運用要領と事業所概要書の注意事項です。[2][3]
医療機関では、看護補助者等の取扱いに注意
診療報酬上の看護補助者として療養生活上の世話等を行う人や、同一病棟でその指導を行う看護師・准看護師は、算定対象となる取扱いがあります。「看護師は全員対象外」と一括せず、勤務先と業務内容を確認してください。[3]
非常勤の人数や常勤換算値を、そのまま入れない
人数枠は「常勤の介護職員」を基準とします。非常勤職員を含む在籍者数や、介護サービスの配置基準で用いる常勤換算値を、そのまま入力しないようにしましょう。短時間勤務、休職、兼務などの算入に迷う場合は、就業規則・雇用契約・勤務表を整理し、個別の取扱いを確認します。[3]
計算例:事業所別に整理すると間違いを防げる
次はルールを理解するための仮定例です。実際の申請では、各職員の算入可否と最新の在籍状況を確認してください。
スマートフォンでは表を左右にスクロールできます。
| 項目 | A事業所 | B事業所 |
|---|---|---|
| 日本人の常勤介護職員 | 8人 | 3人 |
| 在留資格「介護」の常勤介護職員 | 2人 | 1人 |
| その他の算定対象職員 | 0人 | 0人 |
| 人数枠の基礎となる職員数 | 10人 | 4人 |
| 現在の特定技能1号「介護」の人数 | 4人 | 3人 |
| 人数枠だけでみた追加分 | 6人 | 1人 |
A事業所の枠に余裕があっても、その分を使ってB事業所へ2人追加する計算にはできません。事業所を異動する計画も、異動先の人数枠と必要な手続を確認します。
この例に、算定対象ではない非常勤介護職員や事務職員がいても、その在籍人数を上限に加算しません。まず名簿を区分し、その後に計算する順序が確実です。
雇用契約・法令遵守も受入れの条件
特定技能「介護」は直接雇用です。また、特定技能外国人はフルタイムで業務に従事することが求められます。人材紹介を利用する場合も、誰が雇用主になるのかを明確にします。[12][13]
報酬は、同等の業務に従事する日本人と同等以上であることが必要です。受入れ機関には労働・社会保険・税に関する法令の遵守なども求められます。非自発的離職、機関の責任による行方不明者の発生、欠格事由等に関する基準もあるため、該当しそうな事実は申請前に確認します。[6]
実務では、給与規程・雇用条件書、労働時間と休日、保険の加入・納付状況、税の資料を担当者ごとに整理しておくと、書類の不足を把握しやすくなります。
支援体制と、施設内の教育担当を準備する
特定技能1号では支援計画を作成し、計画に沿って支援を実施します。住居や生活に必要な契約、生活オリエンテーション、相談、日本語学習の機会などを、誰が担当するか決めます。本人が十分に理解できる言語で対応できる体制も確認してください。[7]
登録支援機関へ支援を全部委託することで満たせる支援体制の基準があります。ただし、雇用主としての契約履行や事業所の人数枠など、他の受入要件まで不要になるわけではありません。[6]
施設内では、介護業務を教える担当、日々の相談先、事故・急変時の連絡先を決めましょう。外部の生活支援担当と現場の教育担当が、必要な情報を共有できるようにしておくことを勧めます。
協議会と自治体への手続を、在留申請前に確認
協議会:法人の入会だけでなく、受入事業所の登録も確認
在留諸申請を行う前に、協議会の構成員となり、受入事業所の情報が入った入会証明書を準備します。法人がすでに入会していても、新たな事業所が未登録なら、そのままでよいとはいえません。現在の証明書に記載された事業所と有効期限を確認します。[1]
自治体:事業所と住居の所在地を確認
初めて特定技能外国人を受け入れる場合、雇用契約締結後、在留資格認定証明書交付申請または在留資格変更許可申請の前に協力確認書を提出します。提出先は、事業所所在地と住居地の市区町村です。同一市区町村なら一通となります。すでに提出済みの場合も、変更に伴う再提出の要否を確認してください。[8]
協議会の証明書と、自治体への協力確認書は別の手続です。担当者と完了日を分けて管理すると、確認漏れを防げます。
訪問系サービスを予定する場合は追加確認
特定技能外国人が訪問系サービスに従事する場合、初任者研修課程等の修了や、原則1年以上の実務経験など、本人に関する条件を確認します。事業所側にも、利用者・家族への事前説明、研修、同行訓練、キャリアアップ計画、ハラスメント対策、緊急時の対応体制等が求められます。[9]
人数枠に収まることだけで訪問へ配置せず、協議会での適合確認書の発行に係る手続も含め、最新の厚生労働省の案内を確認してください。特定技能の訪問系サービスに関する手続案内に掲載されています。[1]
受入れ上限・人員配置基準・教育できる人数は別に確認
人数上限は、特定技能1号を何人受け入れられるかの条件です。介護保険等の人員配置基準や加算要件を満たすかという確認とは分けて管理します。人数枠に余裕があることだけで、必要な配置を満たすとは判断できません。
実際の採用人数は、指導担当者の勤務、研修に充てられる時間、シフト、生活支援の担当人数まで見て決めましょう。例えば人数枠に6人分の余裕があっても、同時に教えられる人数が2人なら、入職時期を分ける計画が考えられます。これは制度上の人数制限ではなく、現場運営のための検討例です。
採用前チェックリストと、そろえておく資料
- □ 在留資格と、勤務する事業所・業務を決めた
- □ 対象施設一覧の正式な種別・注記を確認した
- □ 職員を国籍・在留資格・業務・常勤性で区分した
- □ 現在の受入れ人数と採用予定者を含め、事業所ごとに計算した
- □ 直接雇用・労働時間・報酬等の条件を確認した
- □ 労働・社会保険・税等の資料と受入れ機関の基準を確認した
- □ 支援計画と現場の教育・相談担当を決めた
- □ 協議会証明書の事業所情報・有効期限を確認した
- □ 自治体の協力確認書と地域の共生施策を確認した
- □ 訪問業務がある場合、追加条件と適合確認手続を確認した
- □ 本人の資格・試験・免除の根拠と、必要な在留手続を確認した
スマートフォンでは表を左右にスクロールできます。
| 資料の例 | 確認する目的 |
|---|---|
| 施設・事業所の指定内容が分かる資料 | 正式なサービス種別と対象施設の照合 |
| 職員名簿・雇用契約・勤務表 | 算定対象となる職員の確認 |
| 外国人職員の在留資格・資格が分かる資料 | 算入区分と現在の特定技能人数の確認 |
| 採用計画・異動や退職の予定 | 受入れ時点の人数構成の確認 |
| 雇用条件・支援計画・委託範囲 | 待遇と支援の実施体制の確認 |
| 協議会証明書・自治体手続の記録 | 必要な事前手続の完了確認 |
これは準備資料の例です。入管へ提出する正式な書類一覧は、本人・受入れ機関の状況により異なります。最新の提出書類一覧・確認表を使用してください。[10]
よくある勘違いと防ぎ方
スマートフォンでは表を左右にスクロールできます。
| 勘違い | 確認のしかた |
|---|---|
| 法人全体で人数が足りていればよい | 実際に勤務する事業所ごとに分けて計算する |
| 外国人職員は全員、人数計算の基礎から外す | 在留資格「介護」など、算定対象になる区分を確認する |
| 常勤職員なら職種を問わず数えられる | 介護等の主な業務と医療機関の特則を確認する |
| 紹介・支援を外注すれば施設側の準備は終わり | 雇用主の基準、協議会、教育担当などの準備を確認する |
| 申請が済めば勤務を始められる | 本人が自施設の予定業務に就労できる状態を確認して開始日を決める |
よくある質問
日本人の介護職員が5人なら、特定技能は5人までですか?
その5人が算定対象の常勤介護職員で、ほかに算入できる職員がいなければ、人数枠は5人です。在留資格「介護」等の対象者がいれば、条件を確認して基礎となる人数に加えます。[3][5]
技能実習生がいると、特定技能の枠が減りますか?
技能実習生は、この計算の基礎となる「日本人等」に含めません。また、特定技能1号の受入れ人数として数える人でもありません。技能実習側の人数枠・体制は別に確認してください。[2]
パート職員2人を合わせて常勤1人としてよいですか?
配置基準の常勤換算と混同せず、算定対象の常勤職員に当たるかを確認してください。勤務時間の合計だけで判断せず、就業規則や雇用契約を基に個別の取扱いを確認します。[3]
受入れ後に常勤介護職員が退職したらどうしますか?
変動後の職員構成で人数枠を再確認し、超過する可能性があれば地方出入国在留管理局等に早めに相談してください。上限を満たすために外国人職員へ直ちに退職を求めるという判断はせず、雇用契約と必要な対応を確認します。
登録支援機関に全部委託すれば、すべての要件を満たしますか?
全部委託で満たせるのは支援体制に関する基準です。施設の人数枠、対象業務、適切な雇用契約などは引き続き確認が必要です。[6]
同じ法人の別施設へ異動できますか?
異動先の対象施設・人数枠・協議会登録と、在留手続や届出の要否を確認します。法人が同じという理由だけで、自由に配置してよいとは判断しないでください。[1][10]
関連ページ
- 外国人介護人材 完全ガイド:採用から定着までの全体像
- 外国人介護人材の制度比較:受入れ制度の違い
- 特定技能「介護」とは:本人の試験・資格などの要件
- 外国人介護士の採用方法:募集から勤務開始までの手順
- 外国人介護士の採用費用:初期費用・月額費用の整理
出典・確認資料
制度の説明は以下の公的資料に基づきます。計算例、準備資料、チェックリストは検討のための実務例です。資料の改訂時には、厚生労働省・出入国在留管理庁の掲載ページから最新版を確認してください。
- 厚生労働省|介護分野における特定技能外国人の受入れについて
- 法務省・厚生労働省|運用要領別冊:介護分野の基準について(人数枠:13~14ページ)
- 厚生労働省掲載|分野参考様式第1-2号:事業所の概要書
- 厚生労働省|介護分野の1号特定技能外国人を受け入れる対象施設について
- 出入国在留管理庁|特定技能制度に関するQ&A
- 出入国在留管理庁|外国人労働者に関する制度概要(受入れ機関等の基準)
- 出入国在留管理庁|1号特定技能外国人支援・登録支援機関について
- 出入国在留管理庁|特定技能制度における地域の共生施策に関する連携
- 厚生労働省|外国人介護人材の訪問系サービスへの従事について
- 出入国在留管理庁|在留資格「特定技能」:申請書類・確認表
- 厚生労働省|外国人介護人材の受入れについて
- 出入国在留管理庁|特定技能外国人受入れに関する運用要領
- 出入国在留管理庁|介護分野の分野別運用方針(雇用形態等)
最終確認日:2026年9月28日
更新履歴:2026年9月28日:初版作成。特定技能「介護」の受入要件、人数枠、事業所別の計算例を整理。
更新方針:制度・運用要領・協議会手続の変更時に確認し、月1回を目安に公的案内を確認します。
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