
この記事で分かること
- 在留資格・受入れ制度ごとの夜勤の確認事項
- 夜勤の可否と人員配置基準への算入の違い
- 研修・日本語・緊急連絡・労務管理のチェック項目
結論:夜勤は可能ですが、制度と現場の体制を確認して配置します
外国人介護士も、在留資格や受入れ制度に応じて夜勤に就くことができます。特定技能「介護」や在留資格「介護」では夜勤が可能ですが、技能実習やEPA候補者には配置・指導・連絡体制などの確認事項があります。夜勤に就けること、人員配置基準に算入できること、単独で業務を任せられることは分けて判断しましょう。入職からの月数や日本語試験の結果だけで決めず、申し送り、介助、記録、緊急報告を実際に確認します。段階的な研修と応援体制を整え、本人の不安や体調を確認してから開始することが大切です。[1][2][4]
2026年9月現在:夜勤の可否は制度ごとに確認
特定技能「介護」や在留資格「介護」では夜勤が可能です。技能実習やEPA介護福祉士候補者にも夜勤に関する取扱いがありますが、配置・指導・連絡体制等の条件を分けて確認する必要があります。[1][2][4]
本記事は、施設内の夜勤を想定しています。訪問系サービスには別の要件があるため、夜間の訪問業務を予定している場合は、厚生労働省の訪問系サービスの案内も確認してください。[9]
在留資格・受入れ制度別の確認事項
スマートフォンでは表を左右にスクロールできます。
| 制度 | 夜勤の考え方 | 配置前に確認 |
|---|---|---|
| 特定技能1号「介護」 | 夜勤は可能[1] | 就労する施設・業務、雇用条件、習熟度、夜間の配置・応援体制 |
| 在留資格「介護」 | 夜勤は可能[1] | 資格があっても施設固有の手順・利用者情報・緊急連絡を確認 |
| 技能実習「介護」 | 夜勤時の指導・安全確保等の措置が必要[2][3] | 技能実習計画、実習生以外の介護職員の同時配置、開始時期等 |
| EPA介護福祉士候補者 | 夜勤配置と人員配置基準への算入を分けて確認[4][10] | 候補者以外の職員配置または緊急連絡体制、研修・学習への配慮 |
この表の「可能」は、すぐ単独で任せてよいという意味ではありません。施設・サービスの配置基準や労務管理を満たしたうえで、本人が予定業務を安全に行えるかを判断します。
特定技能「介護」は、夜勤を含む勤務が可能
厚生労働省の介護事業者向けガイドブックでは、特定技能「介護」の夜勤は可能と整理されています。特定技能であること自体を理由に、夜勤が一律禁止となるものではありません。[1]
一方、試験合格や日常会話の上手さだけでは、夜間の業務を任せる判断材料として十分とは限りません。利用者ごとの注意事項、記録の読み書き、コール対応、異常を発見した際の報告などを、実際の場面で確認しましょう。
夜勤開始時期は、勤務先での習熟度と支援体制を基に決めます。「外国人は必ず入職後3か月から」など、施設の研修目安を全国共通の制度条件として扱わないことが大切です。
技能実習は、同時配置と指導体制を確認
技能実習生を夜勤に配置する際は、利用者の安全と実習生の保護のための措置が必要です。通知では、指導に必要な範囲で、実習生以外の介護職員を同時に配置する取扱いが示されています。実習生だけに任せる体制を前提にしないでください。[2]
ガイドラインには、夜勤業務等は2年目以降の実習生に限定するなどの努力義務が示されています。これは「どの制度でも1年目は禁止」というルールではありません。技能実習計画と本人の習熟度を踏まえ、監理団体・実習指導員と確認します。[3]
同一敷地内で一体的に運営される事業所への配置に関する取扱いもありますが、単に電話がつながればよいと読み替えず、指導できる具体的な体制を確認してください。[2]
EPA候補者は、夜勤と配置基準への算入を区別
JICWELSは、EPA介護福祉士候補者を夜勤に配置する場合、候補者以外の介護職員を配置するか、緊急時に候補者以外の介護職員等と連絡できる体制を整えること、学習時間への影響に配慮することを案内しています。[10]
最低人員配置基準への算入については、就労開始から6か月を経過した場合や、日本語能力試験N1・N2合格者等の取扱いに加え、6か月未満でも日本語能力・研修状況・管理者等の意見を踏まえ、チームケアと組織的な安全対策の条件を満たして算入する取扱いがあります。「6か月未満だから必ず算入不可」とは限りません。[4]
夜勤への従事、最低配置基準、加算の算定はそれぞれ確認します。自施設のサービス種別と最新の通知を、指定権者やJICWELSへ確認してください。
「夜勤できる」「配置に数えられる」「単独で任せられる」は別
スマートフォンでは表を左右にスクロールできます。
| 確認すること | 確認内容 |
|---|---|
| 在留資格・制度上の可否 | その勤務先・業務で就労でき、制度固有の条件を満たすか |
| 人員配置・加算の取扱い | 施設やサービスに必要な人数・資格・算入条件を満たすか |
| 実務上の安全性 | 本人の習熟度、利用者の状態、夜間の応援・緊急連絡が整っているか |
外国人職員の受入れ人数上限を満たしていることも、夜間の配置基準を満たすこととは別です。採用時の人数計算は受入要件・人数上限で確認できます。
特定技能や在留資格「介護」であっても、「夜勤可能」という記載だけを根拠に単独勤務を決めないでください。配置基準と、困ったときに現場へ応援を呼べる体制まで確認します。
夜勤前に確認する実務チェック表
以下は施設内で使うための評価項目の例です。法定の合否基準ではありません。国籍で判断せず、本人が実際にできることを確認して記録します。
スマートフォンでは表を左右にスクロールできます。
| 項目 | 確認する行動の例 |
|---|---|
| 申し送り | 利用者ごとの注意点を説明し直せる。不明点を聞き返せる |
| 巡回・コール | 担当範囲、優先順位、応援を求める場面を把握している |
| 日常の介助 | 施設の手順に沿い、自分だけでは対応できない介助を見分けられる |
| 異常時の報告 | いつ・どこで・誰に・何が起きたかを短く伝えられる |
| 記録 | 時刻、観察内容、対応、報告先を区別して残せる |
| 連絡機器 | 内線や電話を使い、つながらない場合の次の連絡先を分かっている |
| 防災・安全 | 避難経路、応援要請先、施設の非常時手順を確認している |
| 本人の理解・体調 | 担当業務と休憩を理解し、不安や疲労を相談できる |
「できますか」と尋ねて終わらせず、申し送りの復唱や連絡の練習で確認します。医療上の判断が必要な場面では、施設の手順に従って看護職等へつなぐことを練習し、本人だけに判断を任せないようにします。
段階的に夜勤へ移る研修の進め方
- 日勤で基本を確認:利用者情報、介助、記録、報告の手順を確認します。
- 夜勤の流れを説明:時刻ごとの業務、休憩、役割分担、緊急連絡を本人が理解できる形で共有します。
- 経験者と夜間業務を経験:制度上必要な配置を確保し、見学・同行・担当業務の実施へ段階的に進みます。
- 評価と面談:できたこと、不安なこと、追加練習が必要な場面を双方で確認します。
- 開始後も見直し:夜勤後に短く振り返り、業務量・回数・担当範囲を調整します。
これは育成方法の提案です。「同行を何回終えれば必ず独り立ち」など、回数だけの判定にはしません。担当するフロアや利用者が変わった場合も、必要な確認をやり直します。
夜間の連絡体制は、つながらない場合まで決める
連絡表には、名前と電話番号だけでなく、どの場面で誰へ連絡するか、応答がない場合に誰へ切り替えるかを記載します。
スマートフォンでは表を左右にスクロールできます。
| 項目 | 決めておくこと |
|---|---|
| 現場の応援 | 同じ勤務帯で支援できる職員と、その担当範囲 |
| 看護職・管理者等 | 施設の手順に沿った連絡先と連絡順序 |
| つながらないとき | 次の連絡先、待たずに別対応へ進む条件を施設で明確化 |
| 情報の伝え方 | 利用者名、場所、時刻、観察内容、実施した対応 |
| 記録・引継ぎ | 誰へ何時に報告したか、朝の担当へ何を伝えるか |
翻訳機器だけを緊急対応の手段にせず、通信障害や誤訳があっても応援を求められるようにします。個人情報を含む記録の翻訳には、施設で認めた方法を使ってください。
夜勤手当・休憩・健康管理を確認
深夜割増と施設の夜勤手当を区別
原則として22時から翌5時までの深夜労働には、通常の賃金に対して25%以上の割増が必要です。時間外・休日労働と重なる場合は、対応する割増も確認します。[6]
施設独自の「夜勤手当」がある場合、深夜割増を含むのか別なのか、実際の勤務に対して法定額を満たすかを給与担当者が確認し、本人へ説明します。
休憩を実際に取れるシフトにする
労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩が必要です。休憩中の業務を誰が担当するかも含めて配置を考えます。[5]
仮眠の予定時間でも、コールへの即応などが求められる場合は、名称だけで休憩と判断せず、実態に即した労働時間の取扱いを確認してください。
健康状態と深夜業の制限を確認
深夜業を含む業務に常時従事する労働者には、6か月以内ごとに1回の健康診断が必要です。対象や必要な対応を確認し、睡眠・疲労・通勤上の負担も面談で把握します。[7]
妊産婦が請求した場合には深夜業をさせることはできません。本人の状況に応じた法令上の制限・配慮も確認してください。[8]
夜勤開始前の最終チェックリスト
- □ 在留資格・受入れ制度と勤務先・業務を確認した
- □ 技能実習・EPA等の制度固有の条件を確認した
- □ 施設の夜間配置基準・算入条件を確認した
- □ 夜勤の時間帯、手当、休憩、予定回数を本人へ説明した
- □ 申し送り・介助・記録・連絡を実際の行動で評価した
- □ 経験者との夜勤研修と振り返りを行った
- □ 応援先と、電話がつながらない場合の連絡先を決めた
- □ 休憩中に業務を引き継ぐ体制を整えた
- □ 健康状態と本人の不安・生活上の事情を確認した
- □ 開始後の面談日と、担当範囲を見直す基準を決めた
本人が不安を伝えた場合は、何が難しいのかを具体化し、追加研修や担当範囲の調整を行います。「できないと言いにくい」状態を作らないことも、夜勤の安全に関わります。
よくある質問
特定技能「介護」の外国人は夜勤できますか?
できます。ただし、施設の配置基準、本人の習熟度、雇用条件、労務管理、緊急時の体制を確認して配置します。[1]
入職から何か月後に夜勤を始めればよいですか?
すべての制度・施設に共通する月数としては示せません。制度上の条件とガイドラインを確認したうえで、実務評価と研修を基に判断します。
日本語試験に合格していれば、一人で夜勤を任せられますか?
試験だけでは判断できません。利用者情報、申し送り、記録、緊急連絡など、勤務先の具体的な業務を確認します。技能実習等では配置に関する固有条件もあります。
EPA候補者は6か月を過ぎるまで夜勤できませんか?
夜勤配置と人員配置基準への算入を混同しないでください。6か月未満の算入にも条件付きの取扱いがあります。最新のJICWELSの案内と指定権者への確認が必要です。[4][10]
外国人職員にも深夜割増は必要ですか?
国籍を理由に不要にはなりません。深夜労働の時間と割増率、施設の夜勤手当の内訳を確認して支払います。[6]
関連ページ
- 特定技能「介護」とは:制度の要件を確認
- 外国人介護人材の制度比較:受入れ経路の違い
- 受入要件・人数上限:施設側の条件
- 外国人介護士の採用費用:人件費と支援費の整理
- 外国人介護人材 完全ガイド:採用から定着までの全体像
出典・確認資料
制度や労務の説明は公的資料等に基づきます。実務チェック、研修手順、連絡表は施設で検討するための提案であり、法定の合否基準ではありません。古いガイドブックは夜勤可否の説明に限って参照し、EPAの算入条件等は現在の専用案内を参照しています。
- 厚生労働省|特定技能外国人の受入れに関する介護事業者向けガイドブック(制度比較の夜勤欄)
- 厚生労働省|介護職種の技能実習に係る基準等の解釈通知
- 厚生労働省掲載|介護職種の技能実習に関する資料(夜勤ガイドライン等)
- 国際厚生事業団|EPA候補者の夜勤の最低人員配置基準への算定
- 厚生労働省|労働時間・休日
- 厚生労働省|時間外・休日・深夜労働の割増率
- 厚生労働省|深夜業等の健康診断に関する留意事項
- 厚生労働省|働く女性の母性健康管理措置・母性保護規定
- 厚生労働省|介護分野における特定技能外国人の受入れについて
- 国際厚生事業団|EPA候補者の夜勤について
最終確認日:2026年9月30日
更新履歴:2026年9月30日:初版作成。制度別の確認事項、研修、緊急連絡、労務管理を整理。
更新方針:制度・配置基準・労務ルールの変更時に確認し、3か月ごとを目安に見直します。
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